台風・停電時の店舗防犯|小売店で見直したい「防災×防犯」【前編】
【小売業界向け】安全対策
9月は、台風などによる大雨や強風への備えを意識する時期です。
小売店では、天候や交通機関の状況などを踏まえて、営業時間を短縮したり、臨時休業を決めたりすることがあります。また、状況によっては通常より少ない人数で店舗を運営することもあるでしょう。
こうしたとき、まず優先したいのは来店客や従業員の安全です。一方で、いつもと違う店舗運営になることで、防犯についても平時とは異なる視点が必要になることがあります。
普段は問題なく機能している店舗の防犯も、営業時間やスタッフ配置、開閉店の流れなどが変われば、同じ運用を続けられるとは限りません。
今回は、台風や停電などによって「いつもの店舗運営」が変わったとき、防犯の面ではどのような変化が生じるのかを考えます。
台風シーズンに店舗の「防災×防犯」を考えたい理由

台風への備えというと、店舗では来店客や従業員の安全確保、営業時間の変更、臨時休業などを考えることが多いのではないでしょうか。こうした判断は、安全に店舗を運営するために欠かせません。
ただ、営業時間を短縮すれば、通常とは異なる時間に閉店作業を行うことになります。出勤できる従業員が限られれば、普段とは違う人数や役割分担で店舗を運営することも考えられます。さらに、停電や通信障害が発生すれば、普段利用している店舗設備やサービスの一部が使えなくなる場合もあります。
つまり、台風そのものだけを見るのではなく、台風への対応によって店舗の運営がどう変わるのかまで考える必要があります。そして店舗運営が変われば、防犯の前提も平時と同じとは限りません。
防災と防犯を別々のものとして考えるのではなく、「通常とは違う店舗運営になるとき、防犯面では何が変わるのか」という視点を持っておくとよいでしょう。
平時の防犯は「いつもの店舗運営」を前提にしている
普段の店舗を思い浮かべてみましょう。決まった時間にスタッフが出勤し、それぞれの持ち場で開店準備を行う。営業時間中はスタッフが売場やレジ、バックヤードなどで業務にあたり、閉店後には決められた手順で確認や施錠を行う。
日々繰り返している業務だけに、一つひとつを「防犯の前提」として意識することは少ないかもしれません。しかし、店舗の防犯は、防犯カメラや鍵などの設備だけで成り立っているわけではありません。スタッフの配置や役割、店舗への出入り、開店・閉店時の確認など、日々の運用も店舗を守る要素の一つです。
スタッフ配置が通常どおりである
通常営業では、時間帯や業務内容に応じてスタッフが配置されています。
売場、レジ、バックヤードなど、それぞれの場所に人がいることで、来店客への対応だけでなく、店内の状況を確認しながら業務を進められます。
また、開店や閉店などの作業も、普段の人員配置を前提として役割が決められている店舗は少なくないでしょう。
こうした「いつもの人数」「いつもの役割」が変わったとき、これまでと同じ確認方法で十分なのかという視点が必要になります。
電源・通信・設備が利用できる
店舗では、さまざまな設備やシステムを利用しながら日々の業務を行っています。それらの多くは、電源や通信環境など一定の条件が整っていることを前提に運用されています。
一方、台風などの影響で停電や通信障害が発生した場合、店舗で利用している設備やサービスの一部が通常どおり利用できなくなることも考えられます。
防犯に関わる設備についても、非常時にどのような状態になるのかは、設備やシステムによって異なります。平時に利用できているからといって、非常時にも同じ状態で利用できるとは限らない点は意識しておきたいところです。
開店・閉店作業が通常どおり行われる
普段の営業では、開店や閉店の時間、それに伴う作業の流れがある程度決まっています。
しかし、台風の接近などによって営業時間を急きょ短縮する場合には、いつもとは異なる時間に閉店作業を行うことになります。交通機関の状況などによってスタッフを早めに退勤させれば、普段とは異なる人数や役割分担で作業することもあるでしょう。
いつもの時間、いつものメンバー、いつもの手順。平時には意識することの少ないこうした条件も、店舗の防犯運用を支えている前提の一つです。
台風接近で店舗運営が変わると、防犯上の前提も変わる
台風接近時には、来店客や従業員の安全を考えながら、その時々の状況に応じて店舗運営を変更する必要があります。
問題は、変更することそのものではありません。営業時間や人員配置などを変更したとき、防犯に関わる運用もそれに合わせて変わっているかという点です。
平時には問題なく回っていた運用でも、前提となる条件が変われば、確認すべき部分が生じます。
営業時間の短縮・臨時休業
台風の接近に伴って、営業時間を短縮したり、臨時休業としたりする場合があります。
営業時間が変われば、開店・閉店作業を行う時間も変わります。予定していたスタッフが全員そろっているとは限らず、通常とは異なる体制で閉店することも考えられるでしょう。
また、臨時休業となれば、店舗内に商品や備品などを残したまま、通常の休業日とは異なるタイミングで店舗を無人にする場合もあります。
こうした状況では、普段の営業スケジュールを前提とした防犯運用のままでよいのかを考える必要があります。
通常より少ないスタッフでの店舗対応
交通機関の運休や従業員の安全確保などを理由に、通常より少ない人数で店舗を運営することも考えられます。
スタッフが少なくなれば、一人が担当する業務の範囲が広がったり、普段は複数人で確認している作業を別の方法で行う必要が生じたりするかもしれません。
大切なのは、少人数で営業すること自体を問題とすることではなく、人員が変われば、それまで人によって支えられていた防犯上の確認にも影響が出る可能性があると考えることです。
通常時の役割分担をそのまま前提にせず、非常時の店舗運営では何が変わるのかを把握しておく必要があります。
閉店・退店時間の変更
営業時間を短縮すると、来店客への案内や閉店作業、スタッフの退勤などが通常とは異なる時間帯に集中することがあります。
「予定より早く店を閉める」という判断が決まっても、その瞬間にすべての業務が終わるわけではありません。来店客への対応を終え、店内を確認し、必要な作業を行い、スタッフが退店するまで店舗運営は続きます。
普段とは違う流れになるからこそ、閉店から退店までの間に、誰がどの業務を担当しているのかが平時とは変わる可能性があります。
停電・通信障害による設備やサービスへの影響
台風などに伴って停電や通信障害が発生した場合、店舗で利用している設備やサービスの一部が使えなくなることがあります。
ただし、停電したからといって、すべての防犯設備が停止するとは限りません。非常電源やバックアップ電源の有無、通信への依存、機器そのものの仕様などによって、非常時の動作は異なります。
そのため、「普段使えているから非常時にも使える」「停電すればすべて使えなくなる」と一括りに考えるのではなく、通常運用とは条件が変わる可能性があると捉えておく必要があります。
具体的にどの設備がどのように動作するのか、何を確認しておくべきかについては、後編で詳しく取り上げます。
災害時に見落としたくない「店舗の守り」の変化
店舗運営が通常とは異なる状態になったとき、変化するのは営業時間だけではありません。
売場やバックヤード、出入口、スタッフの動線、商品や売上金など、店舗内には日頃からさまざまな「守る対象」があります。
平時にはスタッフの配置や日々の業務のなかで自然に確認できていた場所でも、人員や業務の流れが変われば、同じように確認できるとは限りません。
通常とは異なる人数で閉店作業を行うとき、予定外の時間に店舗を閉めるとき、あるいは臨時休業によって通常とは異なる期間や時間帯に店舗を無人にするとき。
こうした場面では、普段どおりの防犯設備があるかどうかだけでなく、誰が、どの場所を、どのタイミングで確認しているのかという日々の運用にも目を向ける必要があります。

防犯というと設備に意識が向きやすいものですが、設備と現場の運用は切り離して考えられるものではありません。
普段の店舗がどのような人員と手順で守られているのかを把握することが、非常時の防犯を考える出発点になります。
防災と防犯を別々に考えない
台風などへの備えでは、来店客や従業員の安全確保、営業を継続するかどうかの判断など、防災の観点から考えるべきことが数多くあります。
そのなかで、防犯についてまで同時に考えるのは難しいと感じるかもしれません。
だからこそ、非常時になってから一つずつ判断するのではなく、「店舗運営が変わった場合、防犯の運用はどう変わるのか」という視点を、平時のうちに持っておくことが大切です。
防災と防犯は、別々の場面で必要になるものとは限りません。店舗運営の変化に合わせて、防犯の運用も確認する。
「防災×防犯」という考え方は、特別な対策を増やすことではなく、非常時にも店舗を守るために、平時とは何が変わるのかをあらかじめ考えておくことから始まります。
まとめ|「いつもと違う店舗運営」まで想定して防犯を考える

店舗の防犯は、防犯設備だけで成り立っているわけではありません。
普段のスタッフ配置や役割分担、開店・閉店時の確認、出入口やバックヤードの管理など、日々の店舗運営そのものが防犯を支えています。
台風接近による営業時間の短縮や臨時休業、人員配置の変更、停電や通信障害などによって店舗運営が変われば、平時と同じ防犯運用を続けられるとは限りません。
まずは「いつもの店舗運営では、どのように店舗を守っているのか」を把握し、その前提が変わったときに何が影響を受けるのかまで考えておくことが、非常時の店舗防犯につながります。
では、台風の接近前から営業時間の変更、臨時休業、停電、そして営業再開まで、店舗では具体的に何を確認しておけばよいのでしょうか。
後編では、非常時にも店舗の「守り」を切らさないために確認したい防犯対策のポイントを、店舗運営の流れに沿ってご紹介します。
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