記録から”抑止”へ。カスハラ対策を一歩進める選択肢とは
カスハラ対策コラム③製品編|警備・イベント業界向け
前回の②対策編では、カスハラを防ぐための3つのアプローチとして「抑止・可視化・記録」をご紹介しました。
今回は、その考え方を実際の現場でどう実現するか——具体的なツールの選び方と活用方法について掘り下げていきます。
「カメラを導入してみたが、トラブルが減った実感がない」「証拠は残せても、そもそもトラブルを起こさせない方法が知りたい」——そうした声が、警備・イベント現場では少なくありません。今回はその一歩先を考えます。

「記録するカメラ」と「抑止するカメラ」——何が違うのか

一般的な防犯カメラの主な役割は「事後の証拠保全」です。
トラブルが起きた後に映像を確認し、状況を把握するためのツールとして使われます。もちろん、それ自体は非常に重要な機能です。
しかし、カスハラ対策の視点で考えると、「トラブルが起きてから映像を確認する」では、スタッフが傷ついた後です。離職リスクや精神的なダメージはすでに発生しています。
そこで近年、注目されているのが「抑止」という考え方です。
人は「記録されている」「見られている」と認識すると、自分の言動を自然と抑制する傾向があります。この心理を活用したのが「見せるカメラ」という設計思想で、前面モニターに撮影映像をリアルタイム表示することで、相手が「自分の言動が映っている」と気づく仕組みです。
従来の録画型カメラが「起きた後に対応する」ツールだとすれば、抑止型のカメラは「起きる前に防ぐ」ツールです。この違いが、カスハラ対策の実効性に大きな差を生みます。

②対策編の3つの柱を、現場でどう実現するか
②対策編でご紹介した「抑止・可視化・記録」の3つのアプローチは、それぞれ異なる役割を持っています。
現場でこれらを実現するために、どのようなツールや手段が有効か整理しておきましょう。
| 3つの柱 | ②対策編でのポイント | 具体的な対策ツール・手段の例 |
| ① 抑止 | 「見られている」と相手が認識する環境をつくる | 前面モニター付きボディカメラ・カメラの存在を明示した掲示など |
| ② 可視化 | 現場の状況を管理者がリアルタイムで把握できる体制を整える | ボディカメラ映像の管理拠点確認・入退室ログの活用・死角のないカメラ配置 |
| ③ 記録 | 映像・音声で証拠を蓄積し、事後対応と教育の両方に活用する | 音声・映像の同時記録・データ保存ルールの整備・研修素材としての活用 |
重要なのは、3つのアプローチをバラバラに導入するのではなく、「一つのツールや仕組みが複数の役割を果たせるか」という視点で選ぶことです。
特に人員が分散し、管理者の目が届きにくい警備・イベント現場では、シンプルで運用しやすい構成が長続きします。
現場でのツール選定——警備・イベント業界ならではのポイント
警備・イベント現場でカスハラ対策ツールを選ぶ際には、一般的な小売や飲食とは異なる要件があります。
以下の点を確認しておくと、導入後の運用がスムーズになります。
屋外イベントや夜間業務が多い現場では、防水・耐衝撃性能と長時間のバッテリー稼働が不可欠です。「日中は使えたが夕方に電池が切れた」という状況では、抑止効果もデータ保全も機能しません。
1日の業務を通してカバーできる稼働時間を確認しましょう。
固定カメラは設置場所以外の死角が生まれやすく、スタッフが移動しながら対応する警備・誘導業務には不向きな場合があります。スタッフ自身が記録を携帯できるウェアラブル型(ボディカメラ)と、カウンターや受付に設置する据置型を組み合わせることで、死角をなくす運用が可能になります。
現場スタッフのITリテラシーや、設置工事の有無は導入判断に直結します。「工事不要で使える」「操作がシンプルで現場教育が不要」な製品であれば、導入までの時間と負担を大幅に削減できます。
カスハラ対応で証拠として機能するのは、映像だけでなく音声も含めた記録です。「暴言を吐かれた」「脅迫的な言動があった」という事実を証明するためには、会話内容が記録されていることが重要です。録画だけでなく録音にも対応しているかを確認しましょう。
クラウド管理が難しい環境や、ネットワーク環境が不安定な会場では、ローカルにデータを保存できる仕様(SDカード対応など)が安心です。トラブル発生時にすぐデータを取り出して確認できる体制を整えておきましょう。
「ルール」と「ツール」をセットで動かす
どれだけ優れたツールを導入しても、使い方のルールが現場に浸透していなければ効果は半減します。②対策編でもお伝えしたように、カスハラ対策はツールと教育・ルールの三位一体で初めて機能します。
ツール導入時に合わせて整備したいルールの例
- カメラ(ボディカメラ・据置型)の使用開始タイミングと告知方法
- 録画データの保管期間・閲覧権限・削除基準
- トラブル発生時の報告ルートとエスカレーション手順
- シフト交代時の情報引き継ぎの方法
- スタッフへの操作研修と、対応後のメンタルフォロー体制
まとめ
カスハラ対策において「記録」は大切な手段ですが、それだけでは十分ではありません。
「起きてから対応する」ではなく、「起きにくい環境をつくる」という発想の転換が現場を長期的に守ることにつながります。
そのためのカギが「抑止」——相手に「記録されている」と認識させることで、問題行動そのものを起こさせない仕組みです。ツールの選定においては、この抑止機能を持っているかどうかを一つの基準として加えてみてください。
また、ツールの導入はあくまでスタート地点です。現場スタッフが「守られている」と感じられる環境——ルール・教育・ツールの三位一体が整った現場——こそが、カスハラに強い組織の姿です。


「抑止・可視化・記録」のアプローチに対応した製品をご紹介します。
前面モニターによる撮影の可視化・映像+音声の同時記録・約12時間の長時間稼働・防水耐衝撃設計など、警備・イベント現場での運用を想定した仕様となっています。
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本コラムはカスハラ対策を検討されている警備・イベント業界の方々に向けた情報提供を目的としています。
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エイト・シーズ株式会社(本社:東京都/代表取締役:渋谷 翔一朗)
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