配送停止・停電時の物流拠点管理|非常時に確認したいセキュリティ対策【後編】
【物流業界向け】安全対策

台風や大雨などによって配送や入出荷が止まったり変更されたりすると、物流拠点では荷物の滞留状況や人員配置、作業時間など、平時とは異なる状況への対応が必要になります。
前編では、物流が通常どおり動かないときにも拠点の運営がすべて止まるとは限らず、荷物・人・出入口・設備など、平時の拠点管理を支えている前提も変わることをご紹介しました。
【前編|台風で物流が止まると拠点管理はどう変わる?物流現場で考えたい「防災×防犯」】
では、配送停止や入出荷の変更、人員変更、停電・通信障害などが発生したとき、物流拠点では何を確認すればよいのでしょうか。
後編では、非常時にも拠点の状況を把握するために確認したいポイントを、配送停止から業務再開までの流れに沿ってご紹介します。
非常時の物流拠点は「平時と同じ運用」を前提にしない
平時の物流拠点では、入荷・保管・仕分け・出庫といった荷物の流れに合わせて、職員やドライバー、委託先などがそれぞれの業務を行っています。
利用するエリアや出入口、作業する時間帯なども、日常の運用に合わせて管理されています。
しかし、台風などの影響で配送が止まったり入出荷の予定が変更されたりすれば、荷物の流れだけでなく、人の動きや作業時間も変わります。
さらに停電や通信障害が重なれば、普段利用している設備の状態や情報共有の方法が変わることもあります。
こうした状況では、平時のルールがあるから大丈夫と考えるのではなく、「いま、平時と何が変わっているのか」を確認することが拠点管理の出発点になります。
前編でご紹介した「管理の前提が変わる」という考え方を、ここからは具体的な確認項目に置き換えていきます。

配送停止・入出荷変更時に確認したいこと
配送の中止や延期、荷受けの変更などが決まったとき、まず把握したいのは、拠点内の荷物と作業予定がどのような状態になっているかです。
予定が変われば、本来は出庫しているはずの荷物が残ったり、作業するエリアや時間帯が変わったりします。
物流が止まったという情報だけでなく、その結果として拠点内で何が変わったのかまで確認します。
拠点内に残る荷物と利用エリアを確認する
配送や荷受けの予定が変更された場合、その情報が関係する職員や担当者へ共有されているかも確認します。
予定変更そのものは把握していても、変更後の入荷・出荷時間や担当、保管場所などが十分に共有されていなければ、拠点内で認識にずれが生じることがあります。
「何が中止・延期になったのか」だけでなく、「変更後はいつ、誰が、どのように対応するのか」まで共有できる状態にしておくことがポイントです。
通常とは異なる時間帯の作業者を把握する
配送スケジュールの変更や業務再開の準備などによって、通常とは異なる時間帯に作業が発生することもあります。
その場合、普段は人が少ない時間帯に職員や委託先が作業したり、予定外の時間にドライバーが出入りしたりすることも考えられます。
通常の勤務表や配送予定だけではなく、変更後の予定をもとに、誰がいつ拠点を利用するのかを把握します。
人員・出入りが変わったときに確認したいこと
非常時には、交通機関の影響などによって出勤できる職員が変わったり、配送予定の変更に伴ってドライバーや委託先の出入りが変わったりすることがあります。
平時とは異なる人員配置になれば、「いつもの担当者」「いつもの出入口」「いつもの利用エリア」を前提とした管理では対応しにくくなることがあります。
そこで、人の動きについても現在の状況に合わせて確認します。
誰が拠点内にいるのか
まず確認したいのは、現在、誰が拠点内で作業しているのかです。
職員だけでなく、ドライバーや委託先なども含め、平時とは異なる人の出入りが発生していないかを把握します。
特に作業時間や担当が変更されている場合は、通常の予定だけで判断せず、その時点で拠点を利用している人を確認できる状態にしておく必要があります。
誰がどのエリアを利用するのか
人員配置や作業内容が変われば、利用するエリアも変わることがあります。
たとえば、滞留した荷物への対応や予定変更に伴う作業によって、普段とは異なる保管場所や作業エリアを利用するケースです。
その場合には、「拠点内に誰がいるか」だけでなく、「誰がどのエリアを利用しているか」まで確認します。
人とエリアの関係を把握できれば、非常時にも現在の拠点内の状況を捉えやすくなります。
通常と異なる出入口を使用していないか
作業エリアや人員配置の変更によって、普段とは異なる出入口を利用することも考えられます。
通常利用していない出入口を一時的に使用する場合、施錠・解錠の方法や利用できる人、使用後の確認などが曖昧になっていないかを確認します。
物流拠点における平時の入退室管理については、以前の記事で鍵管理やエリアごとの管理方法などを詳しくご紹介しています。
非常時に新しい入退室管理を一から考えるのではなく、平時の管理方法が変更後の運用でも成立するのかという視点で見直します。
停電・通信障害時に確認したい設備と運用

物流拠点では、シャッターや照明、防犯カメラ、電子錠、入退室管理、通信設備など、さまざまな設備が業務や拠点管理を支えています。
停電や通信障害が発生した場合、こうした設備が平時と同じ状態で利用できるとは限りません。
一方で、「停電すればすべて停止する」と一括りに考えることもできません。
非常電源やバックアップ電源の有無、通信への依存、機器の仕様、設置環境などによって、非常時の動作や利用できる機能は異なります。
そのため、自拠点で利用している設備について、停電時に利用できる機能と利用できない機能は何か、非常電源やバックアップ電源の対象になっている設備は何か、通信障害が発生した場合に影響を受ける設備・機能は何か、シャッターや電子錠などは停電時にどのような状態になるのか、防犯カメラなどの記録・確認機能に影響があるのか、復電・通信復旧後に操作や動作確認が必要な設備は何か、といった点を確認しておきます。
具体的な動作は、設備の仕様書や取扱説明書、設置事業者などを通じて確認します。
そして、設備の状態を確認するだけで終わらせないこともポイントです。
普段利用している設備や通信が使えない場合に、荷物や人、出入口などの状況をどのように把握するのか。設備で行っていた管理を、誰が、どの方法で補うのか。
設備の仕様と拠点側の運用をあわせて確認しておくことで、非常時に必要な対応を整理しやすくなります。
物流拠点の業務再開時にも確認する
台風が通過し、停電や通信障害が解消され、配送や入出荷を再開できる状態になっても、拠点管理まで自動的に平時へ戻るとは限りません。
非常時に変更した人員配置や利用エリア、出入口の運用などが残っていることもあります。
また、設備についても電源や通信が復旧しただけで、すべてが平時と同じ状態へ戻っているとは限りません。
業務再開時には、設備が正常な状態へ戻っているか、拠点内に残る荷物や利用エリアの状態に変化がないか、一時的に変更した入退室や出入口の運用を通常状態へ戻せているか、職員や担当者の配置・役割を通常の体制へ戻せているか、非常時の記録や次の担当者へ引き継ぐ情報が残っていないか、といった点を確認します。
特に、配送停止によって滞留していた荷物が一斉に動き始めたり、延期されていた入出荷が再調整されたりすれば、業務再開時にも平時とは異なる動きが続くことがあります。

そのため、「配送を再開したから通常運用に戻った」と考えるのではなく、荷物、人、エリア、出入口、設備の状態を確認しながら、非常時の運用から平時の拠点管理へ戻していきます。
非常時への切り替えだけでなく、非常時から通常運用へ戻すところまでを拠点管理の一連の流れとして考えることが、確認漏れを防ぐことにつながります。
設備と仕組みで非常時の拠点管理を支える

ここまで見てきたように、配送停止や入出荷の変更、人員変更、停電などが発生したときには、荷物だけでなく、人やエリア、出入口、設備などの状態も把握する必要があります。
こうした非常時の拠点管理を考えるうえでは、災害が起きてから特別な仕組みを追加するのではなく、平時の管理方法を整理しておくことも一つの備えになります。
たとえば、誰がどのエリアへ入れるのか、鍵や出入口をどのように管理しているのか、利用状況をどのように確認しているのか。
平時からこうしたルールが整理されていれば、人員配置や作業場所が変わったときにも、「普段と何が違うのか」を確認しやすくなります。
また、鍵の受け渡しや特定の担当者の記憶だけに頼るのではなく、電子錠や入退室管理システムなど、人だけに依存しない管理方法を検討することも選択肢の一つです。
ただし、設備を導入すれば非常時の拠点管理がすべて解決するわけではありません。
現在どのように人やエリアを管理しているのか、非常時には何が変わるのかを整理したうえで、自拠点の運用に合った方法を検討します。
エイト・シーズでは、物流拠点の入退室管理について、鍵管理やエリアごとの管理方法、電子錠・顔認証などを含めてご紹介しています。設備やシステムを検討する際にも、平時の使いやすさだけでなく、停電・通信障害などが発生した場合にどのような状態になるのかを仕様書や取扱説明書、設置事業者などを通じて確認しておきます。
まとめ|非常時から業務再開まで拠点管理を切らさないために
台風などによって配送や入出荷が止まったり変更されたりすると、物流拠点では荷物の滞留、人員配置、作業時間、出入口、設備など、さまざまな条件が平時とは異なる状態になります。
そのときに必要なのは、平時の運用をそのまま続けようとすることではなく、「何が変わったのか」を確認し、その状況に合わせて拠点を管理することです。
配送停止や入出荷変更時には、拠点内に残る荷物や利用エリア、変更後の予定を確認する。人員や出入りが変わったときには、誰が拠点内にいて、どのエリアや出入口を利用しているのかを把握する。停電や通信障害が発生した場合には、設備の仕様と、それを補う運用を確認する。
そして配送や設備が復旧したあとも、変更した運用や設備、荷物、記録などを確認しながら平時の状態へ戻していきます。
物流拠点のセキュリティは、平時の入退室や設備を管理するだけのものではありません。
「いつもの物流」が変わったときにも、人・荷物・場所・出入口・設備の状態を把握できること。そして、非常時から業務再開まで管理をつなげていくこと。
平時から拠点管理の方法を整理し、非常時に何が変わるのかを考えておくことが、状況が変化したときにも物流拠点を適切に管理するための土台になります。
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