繁忙期でも接客品質を落とさないために――買取店が年末前に考えたい店舗体験

年末が近づくと、普段より来店が重なったり、査定する商品が増えたりするなど、店舗が慌ただしくなる場面もあるのではないでしょうか。
忙しいときには、目の前の業務を進めることが優先され、普段なら自然にできている案内や声かけまで手が回りにくくなることがあります。
しかし、お客様から見えているのは、店舗側の忙しさやその理由だけではありません。「どのくらい待つのだろう」「今、査定はどうなっているのだろう」「さっき伝えたことは、次の担当者にも伝わっているだろうか」――こうした小さな「分からない」が重なると、店舗側ではいつもどおり対応しているつもりでも、お客様が受け取る体験は平常時とは違ったものになる可能性があります。
繁忙期だからこそ見えてくる、店舗の接客品質があります。

今回は、忙しい時期にもお客様が安心して利用できる買取店について、顧客体験の視点から考えます。

目次

忙しいときほど「いつもの接客」が難しくなる

普段であれば、来店したお客様へ受付から査定までの流れを案内したり、査定にかかる時間の目安を伝えたり、査定結果について説明したりすることができている店舗も多いでしょう。スタッフ同士で必要な情報を受け渡しながら、お客様への対応をつないでいることもあります。
しかし、来店が重なったり、複数の査定が同時に進んだりすると、一つひとつの対応に使える時間や余裕は限られてきます。すると、普段はできているはずの案内や説明が、十分に行き届かなくなることがあります。
ここで考えたいのは、「繁忙期には接客が悪くなる」ということではありません。忙しい状況では、普段なら自然にできていることほど、抜けやすくなる可能性があるということです。
これまでの記事では、査定額の理由を伝えること、初めて利用するお客様が受付から査定までの流れを理解できること、査定中にも見通しを持てること、そして担当者が変わっても話がつながることについて考えてきました。どれも特別な接客ではありません。だからこそ、忙しいときにも同じように届けられているかを考える必要があります。

お客様には「忙しい理由」より「今の体験」が見えている

店舗側から見れば、忙しくなっている理由はよく分かります。
いつもより来店が多く、査定する商品が重なり、対応できるスタッフも限られている――そうした状況のなかで、一人ひとりのスタッフができる限り対応していることもあるでしょう。
一方、お客様から見えている景色は少し違います。店舗がどれほど忙しいのか、その裏側までお客様に分かるとは限りません。
お客様が実際に受け取るのは、来店したときに案内があったか、待ち時間について説明があったか、質問したときに状況を教えてもらえたか、担当者が変わっても話がつながっていたか、といった一つひとつの体験です。

店舗側には「今日は忙しい」という事情があっても、お客様にとっては、その日、その時間の接客が「その店舗で受けた体験」になります。
だからこそ繁忙期には、店舗側の事情だけではなく、今の店舗がお客様からどのように見えているのかという視点を持つことが大切です。

忙しいときほど「分からない時間」を増やさない

来店や査定が重なると、通常より査定に時間がかかる場合もあるでしょう。時間がかかること自体を、すべて避けられるとは限りません。
しかし、お客様にとっては、待ち時間の長さだけでなく「いつまで待つのか分からない」「今どうなっているのか分からない」という状態も不安につながることがあります。
第4回では、査定中の待ち時間について、単に短くすることだけではなく、お客様が見通しを持って待てることの大切さを取り上げました。繁忙期には、この「見通し」が普段以上に失われやすくなります。
予定より時間がかかりそうなときや、すぐに査定へ進めないときでも、その状況をお客様が把握できているか。忙しいときだからこそ、「分からないまま待つ時間」が増えていないかを振り返ってみることが大切です。

接客品質は「丁寧さ」だけで決まるものではない

忙しい時間帯に、一人のお客様へ長い時間をかけて接客することが難しい場合もあります。そのため、「忙しいときにも接客品質を保つ」と聞くと、一人ひとりに時間をかけ、いつも以上に丁寧に対応しなければならないように感じるかもしれません。
しかし、丁寧な接客とは、必ずしも長い時間をかけることだけではありません。必要な案内を受けられること、今の状況を理解できること、査定結果について必要な説明があること、担当者が変わってもそれまでの話がつながっていること――こうしたことも、お客様が安心して店舗を利用するための大切な要素です。
忙しいなかでも、必要なことが必要なタイミングで伝わっていれば、お客様は状況を理解しやすくなります。反対に、一つひとつの対応は丁寧でも、必要な案内が抜けたり、スタッフが変わるたびに話が途切れたりすれば、お客様が受ける体験には違いが生まれます。
前回の記事では、特定のスタッフがいるときだけではなく、担当者が変わっても話がつながることを「接客の一貫性」という視点から考えました。繁忙期は、こうした普段の接客が、忙しい状況でも保たれているかを振り返る機会にもなります。

繁忙期でも「店舗として」安定した体験を届けられるか

平常時には問題なくできている接客でも、忙しくなったときには難しくなることがあります。それは、個々のスタッフが努力しているかどうかだけで考えられる問題ではありません。
来店が重なったとき、査定案件が増えたとき、途中で担当者が変わったとき――そうした状況でも、お客様が必要な案内を受け、見通しを持ち、それまでの話がつながった状態で利用できているでしょうか。
繁忙期は、普段の店舗体験がどのように成り立っているのかを振り返る一つの機会とも言えます。
大切なのは、忙しいことそのものを問題にすることではありません。
忙しいときにも、お客様にとって必要な体験を店舗として維持できているか。
この視点で日々の接客を見てみると、平常時には気づきにくかった課題が見えてくることもあります。
繁忙期にも安定した店舗運営を行うための考え方については、関連記事で詳しくご紹介しています。

まとめ|忙しいときこそ、お客様からどう見えているかを考える

繁忙期には、来店や査定が重なり、店舗側に余裕がなくなる場面もあります。そのようなとき、普段ならできている案内や説明、情報の受け渡しが十分に行き届かなくなることもあるでしょう。
しかし、お客様から見えているのは「店舗が忙しい」という事情だけではありません。必要な案内を受けられたか、どのくらい待つのか見通しを持てたか、査定について必要な説明があったか、担当者が変わっても話がつながっていたか――こうした一つひとつが、その日の店舗体験になります。
繁忙期の接客を考えることは、単に業務を早く進める方法を考えることではありません。
「忙しいから仕方ない」で終わらせず、忙しいときの店舗がお客様からどう見えているのかを考えること。
それは、平常時を含めた接客品質を振り返るきっかけにもなるのではないでしょうか。

次回の記事はこちら

ここまで、査定額の説明や来店時の不安、待ち時間、接客の一貫性、そして繁忙期の店舗体験について、お客様の視点から考えてきました。
では、一度の査定や接客が終わったあと、お客様のなかには何が残るのでしょうか。査定額だけではなく、そのときに受けた説明や対応も、店舗に対する印象の一つになります。
次回は「またここに相談したい」と思われる買取店について、一度の査定で終わらない顧客体験という視点から考えます。

エイト・シーズ株式会社
(本社:東京都/代表取締役:渋谷 翔一朗)

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