「またここに相談したい」と思われる買取店とは?――一度の査定で終わらない顧客体験

査定額を確認し、売却するかどうかを決める。その日の査定が終われば、店舗での対応もひとまず一区切りとなります。
では、お客様にとっても、その時点ですべての体験が終わるのでしょうか。
査定額だけでなく、なぜその金額になったのかをどのように説明してもらったか、質問したときにどのような対応を受けたか、待っている間に不安を感じることはなかったか――その日の説明やスタッフとのやり取りは、店舗を利用したときの印象として残ることがあります。
そして、次に売却したいものが出てきたり、価値が分からないものについて相談したくなったりしたとき、「あの店なら相談できそう」と思えるかどうか。
今回は、一度の査定で終わらない顧客体験について、「またここに相談したい」と思える店舗という視点から考えます。
一度の査定が終わったあと、お客様に何が残る?
店舗側から見ると、査定を行い、結果を伝え、お客様が売却するかどうかを判断すれば、一件の対応は終了します。一方、お客様には査定額だけでなく、その日店舗で経験したさまざまなことが残ります。
査定額の理由は分かりやすかったか、分からないことを質問しやすかったか、待っている間に見通しを持てたか、スタッフとのやり取りに安心感があったか――こうした一つひとつも、その店舗を利用した記憶の一部になります。
もちろん、買取店を利用するうえで査定額は重要な判断材料です。しかし、店舗への印象を形づくるものは、金額だけとは限りません。
前回の記事では、繁忙期にも必要な案内や説明を受けられるかという視点から、お客様にとっての店舗体験を考えました。そのときに受けた接客や説明は、店舗を出た瞬間にすべて消えるものではありません。
査定が終わったあと、お客様のなかにどのような体験が残るのか。
一度の査定を顧客体験として考えるときには、その後まで少し視野を広げてみることも大切です。
「売らなかったお客様」の体験も、そこで終わるとは限らない
査定を受けたからといって、すべてのお客様がその場で売却するとは限りません。提示された査定額を見て、今回は売らずに持ち帰ったり、もう少し考えてから決めたりする――そうした選択をすることもあるでしょう。
店舗側から見れば、売却に至らなかった一件かもしれません。しかし、お客様側から見ると、そこで得た体験まで意味がなくなるわけではありません。
なぜその査定額になったのかを理解できた、質問したことにきちんと答えてもらえた、売却するかどうかを自分で考えることができた――そうした経験もまた、その店舗をどのように感じたかという印象の一部になります。
もちろん、良い対応をしたからといって、必ず次の来店につながるわけではありません。
ただ、成約しなかったことと、お客様にとって良い店舗体験ではなかったことは、同じではありません。
売却したかどうかだけでは見えない部分にも、顧客体験はあります。

「また相談したい」は、特別な接客だけで生まれるものではない

「また利用したい店」「また相談したい店」と聞くと、特別なおもてなしや、印象に残る接客が必要だと考えるかもしれません。しかし、お客様が安心して利用できる体験は、何か一つの特別な対応だけでつくられるとは限りません。
なぜこの査定額になったのかが分かること、初めてでも受付から査定までの流れが分かること、待ち時間にもある程度の見通しを持てること、担当者が変わってもそれまでの話がつながっていること、そして店舗が忙しいときにも必要な案内を受けられること――これまでの連載で考えてきたのは、どれも派手な接客ではありません。けれども、一つひとつの場面で「分からない」「話が通じない」「どうすればよいのだろう」という不安が少なければ、お客様はその店舗での時間を安心して過ごしやすくなります。
第2回では特に、査定額そのものだけではなく「なぜこの査定額なのか」を伝えることについて考えました。査定額の理由を含め、そのとき必要な説明や対応を一つずつ積み重ねていくこと。それらもまた、お客様のなかに残る店舗への印象を形づくる要素になります。
次に困ったとき、「相談先」として思い出してもらえるか
買取店を利用する機会は、頻繁に訪れるとは限りません。次に売却を考えるのは、しばらく先になることもあるでしょう。また、次に店舗を探すときの状況も、前回と同じとは限りません。
売りたいものが出てきたとき、価値が分からないものが見つかったとき、売却するかどうか迷っているとき――そのようなときに、以前利用した店舗を「もう一度相談してみようかな」と思えるかどうか。
ここで大切なのは、必ず再来店してもらうことを目標にする、という話ではありません。
お客様が次に困ったとき、安心して相談できる選択肢の一つとして、その店舗を思い出せるような体験だったかということです。
前回の査定で売却したかどうかにかかわらず、「きちんと説明してもらえた」「相談しやすかった」「話を聞いてもらえた」と感じられる体験であれば、その印象は利用後にも残る可能性があります。
「またここに相談したい」という気持ちは、その日の成約だけでは捉えきれない、店舗への信頼の一つの表れとも言えるでしょう。
一度の査定ではなく、「店舗との関係」として顧客体験を見る
一件の査定を、受付から結果を伝えるまでの業務として見れば、お客様が帰った時点で対応は終了します。しかし、顧客体験という視点で見ると、その一回のやり取りは、お客様がその店舗を知り、印象を持つ一つの接点でもあります。
以前相談した内容が、その後のやり取りにも自然につながっていて、前回とは違うスタッフが対応しても、一からすべてを説明し直さなくてよい――そうした体験も、お客様が「店舗」との関係をどのように感じるかに関わってきます。
前の記事でも考えたように、お客様が接しているのは個々のスタッフであると同時に、その店舗です。
だからこそ、一度の査定をその場限りの対応として見るだけではなく、お客様と店舗との一つの接点として捉えることも大切ではないでしょうか。
では、過去の相談や対応を店舗としてつないでいくためには、どのようなことを考える必要があるのでしょうか。現場側から見た顧客情報や対応履歴の管理については、関連記事で詳しくご紹介しています。
まとめ|「また相談したい」と思える体験を、一度の査定で終わらせない
買取店での査定が終わったあと、お客様のなかに残るのは査定額だけとは限りません。どのような説明を受けたか、質問しやすかったか、待っている間に不安を感じなかったか、スタッフとのやり取りがきちんとつながっていたか――そうした一つひとつも、店舗を利用した体験として残ります。
また、その場で売却しなかったとしても、そこで受けた説明や対応まで意味がなくなるわけではありません。
成約したかどうかだけではなく、利用を終えたあとに、お客様のなかにどのような店舗体験が残ったのか。
その視点で一度の査定を振り返ると、「またここに相談したい」と思える店舗について、少し違った見え方ができるのではないでしょうか。

次回の記事はこちら
ここまでの連載では、査定額の説明、初めて利用するときの不安、待ち時間、接客の一貫性、繁忙期の対応、そして利用後に残る店舗への印象について、お客様の視点から考えてきました。
では、こうした顧客体験を、特定のスタッフの経験や頑張りだけに頼らず、店舗として安定して届けていくためには何が必要なのでしょうか。
次回はシリーズのまとめとして、「安心して利用される買取店は、何が違う?」をテーマに、顧客体験を支える店舗運営について考えます。
エイト・シーズ株式会社
(本社:東京都/代表取締役:渋谷 翔一朗)
